May 19, 2020
新型コロナウイルス感染症に伴う支援金 ~休業要請で事業が継続できない事業者に対する休業要請支援金~
1 休業要請支援金
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ政府が全国に緊急事態宣言を発令し、各地の知事が商業施設等に休業要請をしています。その対象として、ナイトクラブやカラオケといった遊行施設、映画館や劇場、運動施設等が挙げられています。その結果、スポーツ関係(陸上競技場、野球場等の施設)の会社においても、休業要請の対象となったために事業の全部又は一部が継続できず、深刻な影響を受けているのではないでしょうか。
全国の多くの都道府県では、休業要請に協力した店舗や施設に「支援金(協力金)」を給付する動きがあります。この支援金は、特に深刻な影響を被っている中小企業・個人事業主を対象に、家賃等の固定費を支援し、将来に向けて事業継続を下支えする趣旨で、休業要請に協力することと引き換えに給付されるものです。なお、各都道府県によって支給要件や支給額が異なるため、注意が必要となります。
本稿では、大阪府の休業要請支援金を例にして、その支給要件や支給額、申請方法についてご紹介していきたいと思います。
2 支給要件
まず、支給対象の前提として令和2年3月31日以前に開業し、営業実態のある中小企業・個人事業主であることが必要です。
ここでいう、中小企業・個人企業とは、中小企業基本法2条に規定する会社及び個人(大企業が実質的に経営に参画している企業を除く)のことをいいます。例えば、運動施設の提供等のサービス業の場合、資本金の額又は出資の総額が5000万円以下又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人がこれにあたります。
その上で、休業要請支援金を受けるためには、下記の3つの要件を全て満たすことが必要となります。
(1)大阪府内に主たる事業所を有していること
この要件は、
①中小企業の場合には、本社が大阪府内にあること
②個人企業主の場合には、事業所が大阪府内にあること
がそれぞれ必要になります。
(2)休業要請等に全面的に協力していること
具体的には、大阪府の「施設の使用制限の要請等」を受けた運営事業者が、令和2年4月21日から5月6日までの全ての期間において、支援金の対象となる施設を全面的に休業していること(食事提供施設の運営事業者は、夜間の営業時間を短縮する(営業時間を午前5時から午後8時までの間へと短縮する)こと)が必要となります。上記対象期間は、政府が発表した緊急事態措置期間(令和2年4月14日から5月6日まで)のうち、当初7日間を準備期間として考慮したものです。
支援金の対象となる施設には、①劇場等や②集会・展示施設③遊行施設④運動・遊戯施設⑤文教施設⑥大学・学習塾等⑦博物館等⑧ホテル又は旅館⑨商業施設⑩一部の食事提供施設等が挙げられます。特に、④運動施設(スポーツ関係の施設)の場合、屋内施設は対象である一方で屋外施設は対象外とする点や、屋外施設であっても観客席部分を使用停止にした場合は対象とする点に注意が必要となります。
詳しくは、【別表】支援金対象・対象外施設一覧
<http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38322/00000000/shisetsu0502.pdf>
をご覧ください。
(3)令和2年4月の売上が前年同月対比で50%以上減少していること
平成31年4月2日以降に開業された場合の取り扱いは以下のとおりです。
①平成31年4月2日から令和元年11月30日に開業
開業日の翌月以降から12月までの平均月間売上と令和2年4月の売上と の比較
②令和元年12月1日から令和元年12月31日に開業
開業日の翌月以降令和2年3月までの平均月間売上と令和2年4月の売上との比較
③令和2年1月1日から令和2年2月29日に開業
開業日の翌月以降3月までの平均月間売り上げと令和2年4月の売上との比較
④令和2年3月1日から令和2年3月31日の開業
令和2年3月の売上と令和2年4月の売上との比較
3 支給額
①中小企業の場合には、100万円
②個人企業の場合には50万円
がそれぞれ支給されます。
支給金の支給は、休業要請支援金(府・市町村共同支援金)申請事務局より、登録した金融機関口座に振り込まれます。また、1事業者につき1度の支給に限られます。
4 申請期間及び申請方法
(1)申請受付期間は、令和2年4月27日(月)から同年5月31日(日)まで(当日消印有効)となります。
(2)申請方法は、まず、①Web受付ページから申請者情報等を入力して受付登録を行う必要があります。
【休業要請支援金(府・市町村共同支援金)ホームページ】
(URL http://www.pref.osaka.lg.jp/keieishien/kyugyoshienkin/index.html)
(3)②WEB受付が完了した後、支援金の申請書一式をダウンロード・印刷により入手し、休業要請支援金申請事務局に郵送(レターパックライト)による方法で提出する必要があります。
申請のために必要な書類は、
・申請書一式(休業要請支援金申請書、申請要件確認書、誓約書)
・確定申告書の写し
・令和2年4月の売上を示す帳簿等(月次試算表、売上台帳、現金出納帳)の写し
・施設の写真
・本人確認(免許証の写し等)
・営業許可証の写し(該当業種のみ)
・賃貸契約書の写し
・受理込み口座通帳の写し
等が挙げられます。
5 終わりに
先日、緊急事態宣言の期限を5月31日まで延長するとの発表がありました。それに伴い、休業期間の延長を余儀なくされる会社も出てくると思います。政府は、追加経済対策に関して、家賃負担の軽減、雇用調整助成金のさらなる拡充などの早期策定の意欲を示しています。今後、各自治体が、事業主に対して支援金等の追加支給を行うか否かについても、引続き注意して情報を収集していくことが大切です。