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法律問題

スポーツとクラウドファンディング

1 クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、資金を必要とする者(プロジェクト等の実施者)が、インターネットを通じて、不特定多数の資金提供者から少額ずつ資金を調達する仕組みのことです。ここ10年で様々な場面で利用されるようになってきたように思います。スポーツの世界でも、約10年前にバドミントンの選手が海外挑戦をするのにクラウドファンディングで資金調達をしたことが話題になりました。現在では、スポーツチームやアスリートを対象にしたクラウドファンディングのプラットフォームも数多くあり、使い方次第では有力な資金調達方法になると思います。特に、マイナースポーツ と言われる競技や、現時点での知名度はあまり高くないけれども、何かに挑戦しようとしているアスリートなどとは親和性が高いのではないでしょうか。

クラウドファンディングの利用者のメリットとしては、銀行等からの融資に比べて資金調達が容易であること、返済義務がないこと、チームや選手の認知度が向上することなどがあるでしょう。資金提供者のメリットとしては、手軽に少額から資金提供ができること、リターンが得られる場合があること、資金提供という形での新たな支援・応援の仕方を見出せることなどが挙げられると思います。

 

前置きが長くなりましたが、ここでは、クラウドファンディングを利用する、もしくは、プラットフォームを作るにあたり知っておくべき法的な規制等をご説明したいと思います。

 

2 クラウドファンディングに関する法的な規制

クラウドファンディングには、大きく分けて①投資型、②寄付型、③購入型の3つの種類があります(細分化するともっと多くなるようですが、ここでは3つの種類に分けて解説します)。

 

①投資型

投資型は、資金提供者が、プロジェクト実施者から金銭をリターンとして受け取る形態です。株式やファンド、貸付などの類型があります。

この場合、クラウドファンディングサイトを運営する事業者(又は個人)は、金融商品取引業者の登録が必要となります(金融商品取引法29条)。資金提供者の募集を行う行為が、株式の勧誘(第1種金融商品取引業)やファンド持分等の勧誘(第2種金融商品取引業)に該当するためです。登録をしていないと、5年以下の懲役という重たい罰則を科される可能性があります。

あまり例を見ませんが、プロジェクト実施者が、調達した資金で株式投資や不動産売買・賃貸等を行う場合には、投資運用業の登録や不動産共同特定事業者の許可を得る必要もあります。

当然ながら、投資型の場合には、プロジェクトがうまくいかなかった場合に、資金提供者にリターン(配当)が与えられないというリスクがあります。

 

②寄付型

寄付型では、資金提供者が個人の場合は、提供した金額の一部を寄附金控除とすることができ、法人の場合は、損金算入することができます(ただし、プロジェクトが控除対象となっている場合に限ります)。

プロジェクト実施者は、リターンなしで資金の調達をすることになりますので、贈与を受けたのと同じ扱いになります。そのため、個人から個人への資金提供の場合には、贈与税が発生し、法人から個人への資金提供の場合には、一時所得扱いとなります。また、個人から法人、法人から法人への資金提供の場合には、法人税が発生します。

寄付型の場合でも、地方自治体への寄付の場合には、ふるさと納税制度で適用される総務大臣通知の規制が及ぶ場合があります。この通知では、換金性の高いプリペイドカードや商品券、資産性の高い貴金属やゴルフ用品、自転車、楽器、電子機器などの製品、高額な返礼品、返礼割合の高い(3割を超えるも)返礼品の提供を行わないように求められています(泉佐野市などの問題もあって年々規制が厳しくなっています)。あくまでも寄付ですので、返礼品が過剰なものになる場合には、税制上の優遇が受けられない可能性があります。

寄付型のリターンとしては、感謝状や氏名の掲載などが多いですが、お礼の品を提供する場合には、上記のような規制に注意する必要があるでしょう。

 

③購入型

購入型は、売買と同様の構造になっていますので、プロジェクト実施者は、リターンとして提供した商品等に欠陥があった場合には、民法上の瑕疵担保責任を負うことになります。

また、クラウドファンディングのサイトを運営する事業者(又は個人)は、資金決済法上の資金移動業の登録が必要になります(資金決済法37条)。

さらに、クラウドファンディングは、インターネット上の通信販売とも見れますので、特定商取引法に基づく表記が義務付けられます(法第11条)。ほとんどのクラウドファンディングのポータルサイトでは、サイト運営者によって、特定商取引法の表示がなされています。

 

3 まとめ

スポーツチームやアスリートとクラウドファンディングは親和性が高いと思いますので、上記の点に留意してうまく活用すれば、有効な資金調達手段になると思います。現状では、アスリートが利用するケースが多いように見受けられます。日本では、「イケシオ」で知られたバドミントンの池田信太郎さんが、世界ツアーに出場するための資金調達に用いた例が有名です。最近では、Tリーグの琉球アスティーダが、スポーツチームとしては日本で初めて株式投資型クラウドファンディングを行ったのも記憶に新しいところです。

このようなスポーツの場面で利用されるクラウドファンディングは、スポーツファンディングなどと呼ばれていますが、募集期間内に目標額に達しなかった場合にはプロジェクト自体が無効になりオールオアナッシング方式と、集まった資金の範囲内で支援を受けるオールイン方式があります。

どのような目的、型・方式で資金調達をするかを上記の規制やメリット・デメリットを踏まえて検討する必要があるでしょう。

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