February 20, 2020
SNSで炎上しないための心得①―まずは炎上する例と原因を知ろう―
スポーツチームやスポーツ選手にとって、SNSは今や欠かせない手段となっています。自チームの試合の情報やキャンペーン情報の発信、試合後のコメントや普段の何気ない日常の投稿など、SNSは広告手段としても、自己のブランド力を高める手段としても非常に有効なツールです。
しかし、一方で、SNS投稿がきっかけで炎上し、その対応に多大な労力を費やすこととなったり、信用を失ってしまう結果になったりするなど、SNSによる炎上トラブルのリスクは非常に大きく、それらを予防しながらうまくSNSを活用していくことが重要です。
今回は、そのようなSNSによる炎上トラブルを回避するために、まずはどういった投稿が炎上し、それは何が原因なのかをお話していきます。
1 炎上しやすい投稿のタイプ
まず、一般的にSNSで炎上しやすいのはどのような投稿かを見ていきましょう。
① 悪ノリ
飲食店などで従業員が顧客に提供する食品などを不衛生に扱っている動画をSNSに投稿する場合などが典型です。昨年(2019年)は、飲食店の店員が業務中にふざけている動画をSNSにアップしたところ、それが拡散し、炎上したりその結果企業が謝罪したりする事態へと発展する例が相次ぎました。
② 個人情報(プライバシー)の漏洩
ホテル等に有名人が宿泊した情報や顧客等の個人情報をSNSに投稿するような場合です。
③ 機密情報の漏洩
会社の新製品に関する情報など、会社の営業秘密に関する情報をSNSに投稿するような場合です。
スポーツ業界においても、2019年には、ある選手が試合に出場するかどうかという情報を試合前に漏洩し問題になるということが起こりました。
④ 誤爆
個人のアカウントと会社又は本人の公式アカウントとを有している場合に、個人アカウントの方に投稿しようとした内容を、誤って公式アカウントの方に投稿してしまったというような場合です。
⑤ 差別的表現
差別や侮辱する意図をもってあえて投稿する場合だけでなく、投稿者は差別や侮辱するなどの意図なく投稿したコメントが、予想外にも差別的発言・侮辱的発言であると批判されてしまうような場合です。
2 SNSの特殊性
他方、SNSには以下のような特殊性があります。
【簡易性】
SNSには、手軽かつ即時にメッセージや写真・動画を投稿できますが、その手軽さゆえに熟考することなく安易に投稿してしまう人が多いです。
【高度の伝播性】
また、一度投稿された内容は、転送・シェア・リツイートなどによって、短期間で不特定多数者のもとに拡散されるという特殊性があります。
【編集の容易性】
さらに、その拡散の過程で、投稿内容の一部分が切り取られるなどして、投稿者本人の意図しない形で拡散するおそれがあります。
3 炎上の原因はSNSの特殊性を理解していないことにある
1で述べた①~⑤のタイプが炎上する原因は、SNSが有する上記の特殊性を十分に理解していないことにあります。
最も炎上しやすいタイプは①と⑤であるため、それらを例に説明すると、
たとえば、①(悪ノリ)の場合、投稿者はその投稿内容自体が不適切であることは認識していることが多いです。そのため、仲間内だけで盛り上がるために、特定少数の者のみ閲覧可能なグループにのみ投稿します。
ところが、発信者は特定少数の者にのみ発信したつもりであっても、それを受け取った者が、転送・シェア・リツイートすることによって不特定多数者が閲覧可能になり(高度の伝播性)、その過程で恣意的に切り取られるなどすることによって(編集の容易性)、問題がより大きくなり、炎上することとなってしまいます。
⑤(差別的表現)についても、高度の伝播性をあまり意識することなく、投稿の手軽さのみを重視し、投稿内容について他者(特に自分とは異なる価値観を有する人)がどのように捉えるかを熟考しなかった結果(簡易性)、差別的表現であると批判されてしまったというケースが多くみられます。
また、投稿内容全体を見れば差別的表現とは捉えられなくても、拡散の過程で投稿内容の一部分のみ切り取られた結果(編集の容易性)、その一部分のみを受け取った者から差別的表現であるなどと批判されてしまいます。
さらに、スポーツチームやスポーツ選手は、一般人に比べてフォロワー数が多いことなどから、その拡散のリスクや影響力は一般人の投稿とは比べものになりません。
そのため、スポーツチームやスポーツ選手がSNSを利用するにあたっては、より一層の注意が必要となってくるのです。
次回は、上記のようなリスクを踏まえた上で、炎上トラブルを防ぐためにどのような点に気をつけるべきかについてお話します【SNSで炎上しないための心得②―炎上予防策を徹底しよう―】。